セキスイハイムと言えば太陽光パネル・蓄電池を搭載した住宅が多いイメージがあると思います。
それもそのはずで、ハイムは他のメーカーに先駆けて太陽光パネルを積極的に採用してきたハウスメーカーなのです。
太陽光パネル・蓄電池は災害や節電に大きなメリットがある一方で、合わせて数百万円するような高級な設備でもあります。
長い目で見て確実に元が取れるなら欲しいけど、実際どうなんだろう?と思っている方も多いのではないでしょうか。
また、雪国に住んでる方なら、冬は発電できなくなるから雪国では絶対に元が取れないのでは?と思うかもしれません。
そこで、セキスイハイムの太陽光パネル・蓄電池を搭載してかつ年間降雪量が約5mの北海道に住んでいる私たちが、わが家の節電結果について検証してみました。
太陽光パネル・蓄電池を採用した家づくりを検討されている方々の参考になれば幸いです。
まず結論から
どうしても計算が長くなるので、時間が無い方のためにまずは結論から。
・太陽光パネル3.12kW・蓄電池4kWだと年間節電額は約11万円。
・設備を定価で購入すると元が取れるか微妙。補助金・値引きは必須!
・元を取ることだけを考えると蓄電池はおすすめしづらい。
・冬は発電しない雪国でも大丈夫そう。※補助金・値引き額によっては
わが家の条件
太陽光パネル
ハイムは太陽光パネル・蓄電池採用住宅の老舗ですが、自社製の太陽光パネル・蓄電池を有しているわけではなく、どちらも社外品になります。
元々建売だったわが家には京セラの3.12kWのパネルが設置されています。
設置方向は南東側でかなり寝かせた状態で設置されています。
下の画像のようなイメージです。

蓄電池
蓄電池のメーカーはニチコンで容量は4kWになります。
使用方法としては、日中に太陽光パネルで発電した電力を貯めて夕方・夜に使います。
4kWと小容量なので夜9時くらいにはいつも空になり、夜間料金で電気代が安くなる夜10時以降にフル充電するようにしています。
使用環境
わが家は雪国である北海道にあります。
12月から3月までは積雪があるので、その期間は太陽光パネルがほとんど使えなくなります。
冬季はほぼ常にマイナス気温なので雪が解けることは滅多にありません。

電気の契約プラン
わが家は北海道電力のeタイム3プラスというプランで契約しています。
このプランは下の表のように時間帯によって電気料金単価が変わる仕組みになっています。
区分 | 料金単価(1kWh) |
---|---|
午後時間 | 50円73銭 |
朝晩時間 | 43円32銭 |
夜間時間 | 26円29銭 |
売電単価
FIT(固定価格買取制度)により太陽光発電の余剰電力は定められた単価で買い取ってもらうことができます。
FITが始まった2009年当初は売電単価が1kWhあたり48円でしたが、単価は年々下降傾向です。
わが家が建築されたのは2022年でしたので、売電単価は1kWhあたり17円でした。

2009年と比べて約85%減はひどい(泣)

FIT価格は設備の整備や維持の費用などから決まるらしいから、2009年と比べて太陽光パネルが大幅に安くなったってことなんだろうね
2024年の電気代
2024年の月々の買電金額と売電金額は下の表のようになりました。
2024年 | 買電金額 | 売電金額 |
---|---|---|
1月 | 15,406 | 0 |
2月 | 12,620 | 136 |
3月 | 11,897 | 782 |
4月 | 9,370 | 4,097 |
5月 | 8,964 | 4,114 |
6月 | 7,476 | 4,675 |
7月 | 7,695 | 3,859 |
8月 | 8,588 | 3,553 |
9月 | 6,761 | 4,097 |
10月 | 8,461 | 1,734 |
11月 | 14,382 | 663 |
12月 | 13,021 | 0 |
合計 | 124,641 | 27,710 |
平均 | 10,387 | 2,309 |
冬季は雪の影響でほとんど発電していません。
その一方で24時間つけっぱなしの暖房が稼働しているため、電気代は夏よりもかかります。

一番電気が必要な時期に発電してくれないのは悲しいです

雪国の宿命だね
上表から買電金額から売電金額を差し引いてわが家の実質的な年間電気代を算出すると、、、
年間電気代:96,931円
太陽光パネルによる年間節電額
「太陽光パネルによる節電額」は、「自家消費による節電額」と「売電による節電額」に分けられます。
このうち、「売電による節電額」は電力会社から入金されるので、ハッキリわかります。
一方で、「自家消費による節電額」は金額が明示されないので、次のように計算してみます。
自家消費した電力量(kWh)×自家消費した時の電力単価(円)
わが家の使用電力量はHEMS(電力の使用状況をモニタリングするシステムです)のデータから下表のようになりました。
「自家消費した電力量」自体はHEMSには出てきませんが発電量から売電量を差し引けば出てきます。
下表より、、、
年間自家消費電力量:1,333(kWh)
2024年 | 発電量(kWh) | 売電量(kWh) |
---|---|---|
1月 | 0 | 0 |
2月 | 23 | 8 |
3月 | 103 | 46 |
4月 | 405 | 241 |
5月 | 438 | 242 |
6月 | 459 | 275 |
7月 | 413 | 227 |
8月 | 386 | 209 |
9月 | 387 | 241 |
10月 | 240 | 102 |
11月 | 106 | 39 |
12月 | 3 | 0 |
合計 | 2963 | 1630 |
平均 | 247 | 136 |

発電してる時間帯に電気を使うよう気にして生活してましたが、発電量のうち半分は使いきれずに売ってしまっていることが分かりました

売電単価より買電単価のほうが高いので、電気は売るよりも自家消費して買電を減らすほうがお得になるから、少しもったいなく感じます
次に「自家消費した時の電力単価」ですが、実は正確には分かりません。
なぜなら、わが家が契約している電力プランは時間帯によって電力単価が変わりますし、その時間帯別の電力消費量がわが家のHEMSでは記録されないからです。
よって、「自家消費した時の電力単価」を想定してあげる必要があります。
わが家が自家消費する時間帯は太陽光が発電し始める午前6時ごろから蓄電池に貯めた太陽光電力を使い切る午後9時ごろまでです。
このうち、各時間帯別使用電量割合は朝晩時間:午後時間:夜間時間=3:1:1です。(感覚です)
ちなみに夜間時間とは言いつつ午前8時までなので、朝の準備をする時間帯は夜間時間料金となります。
以上から「自家消費した時の電力単価」を算出すると、、、
43.32(朝晩時間単価)×0.6+50.73(午後時間)×0.2+26.29(夜間時間)×0.2=41.396円
よって、「自家消費による節電額」は、、、
1,333(自家消費した電力量)×41.396(自家消費した時の電力単価)≒55,180円
最後に、「太陽光パネルによる節電額」は、、、
55,180(自家消費による節電額)+27,710(売電による節電額)=82,890円
蓄電池による年間節電額
わが家では深夜料金の電力を蓄電池に貯めて、夜間時間以外の時間帯で使うよう設定しています。
太陽光発電がしっかりできる日は日中に蓄電池の電力を使用することはありませんが、夕方以降の太陽光発電が終わったころから消費が始まり、毎日夜9時ごろには使い切っています。
わが家の蓄電池容量は4kWなので、毎日4kW分の電力が夜間電力料金で使用することが出来るということになります。
つまり、「本来かかるはずの日中の電力単価と夜間電力単価との差額」×4kW×366日(2024年はうるう年)が蓄電池による年間節電額となります。

ちなみに、蓄電池があることにより太陽光発電の電力をリアルタイム以外でも使用でき、その分だけ自家消費量が増えるのも蓄電池によるメリットです

ただし、この部分に関するデータはHEMSで記録されないですし、太陽光パネルによる節電額の計算にその分の節電額も含まれているのでここでは考慮しないこととします
では「本来かかるはずの日中の電力単価」ですが、わが家では朝晩時間:午後時間=3:1くらいかと思います(こちらも感覚です)。
よって、「本来かかるはずの日中の電力単価」は、、、
43.32(朝晩時間)×0.75+50.73(午後時間)×0.25=45.1725円
「夜間電力単価との差額」は、、、
45.1725-26.29=18.8825i≒19円
以上より、「蓄電池による節電額」は、、、
19円×4kW×366日=27,816円
元は取れる?
設備による年間節電額
ここまでの計算により、太陽光パネルと蓄電池によるわが家の「年間節電額」は、、、
82,890(太陽光パネル)+27,816(蓄電池)=110,706円

年間の買電額が約12万円なので、設備によって電気代がほぼ半分になっている計算です

では次に、この年間節電額で各設備の元が取れるのかについて計算していきます
太陽光パネルと蓄電池の費用
わが家は太陽光パネルと蓄電池付きのハイムの建売だったので、各設備にどれくらいお金がかかっていたのかは分かりません。
なので、わが家と同じ容量の設備の価格についてネットの情報を参考にしてみます。
ハイムの太陽光パネルは1kW当たり約20~30万円だそうですから、わが家の3kWを高めに見積もって90万円と考えます。
また、ニチコン製4kW蓄電池は約90万円だそうなので、合わせて180万円の費用がかかっていると仮定します。

厳しめの計算にしたいので、各種補助金は無いものとして計算してみます
卒FIT後の節電額は?
FIT(固定価格買取制度)は10年間だけ決まった単価で売電できるという制度なので、10年を過ぎると、売電価格が大幅に下落します。
例えば、私たちが住んでいる地域の最大手である北海道電力では卒FIT後の買取単価は8円/kWとなっています。
一方で、ハイムが提供しているスマートハイムでんきの買取単価は12円/kWと比較的高値で買い取ってもらえるので、卒FIT後の買取単価はこちらで計算してみます。
「卒FIT後の年間売電金額」は、、、
12円×1,630kW(年間売電量)=19,560円
「卒FIT後の年間節電額」は、、、
110,706(現在の年間節電額)-(27,710(現在の年間売電金額)-19,560(卒FIT後の年間売電金額))=102,556円

卒FIT後は年間節電額が1万円弱下がる計算になりました
結論
これで、太陽光パネルと蓄電池の取得費用(180万円)と現在の年間節電額(約11万円)並びに卒FIT後の年間節電額(約10万円)が分かりましたので、元が何年で取れるのかを計算すると、、、
180万円=11万円×10年+10万円×7年
ということで、元を取るのに17年かかるということになりました。
ただし、我が家の蓄電池とパワーコンディショナー耐用年数は15年となっています。
耐用年数を過ぎたからと言って即故障とはならないでしょうが、少なくとも経年劣化で容量の減少は避けられないでしょう。
経年劣化も考えると、元を取るにはあと数年必要かもしれません。
ということで、「ハイムの太陽光パネルと蓄電池は雪国でも元が取れるのか」について長々と計算してきましたが、結果としてはギリギリ元が取れるかどうかということになりました。

意外と厳しい結果となり、ちょっと残念です

わが家は建売だったので設備の取得費用は想定になりましたが、実際のところ値引きや補助金を使って断然安く導入されている方もいらっしゃるようです

逆にそういうのが無いと元は取りづらいってことが分かりました
まとめ
ここ数年は電気代がどんどん高騰していっているので、太陽光パネル&蓄電池は余裕で元が取れると考えていましたが、計算の結果、定価購入では元は取りづらいということが分かりました。
また、元を取ることだけを考えた場合、蓄電池は導入費用が高額な割に節電額が低いので、太陽光パネルだけ導入するほうが良いのかもしれません。

ただし、防災のことも考えると蓄電池は必須の設備だと思います

停電時に太陽光パネルだけだと夜に電気が使えなくなるしね
また、雪国での発電量についてですが、太陽光パネル1kWhあたりの年間発電量は約1,000kWと言われています。
一方のわが家は、、、
2,963kW(わが家の年間発電量)÷3.12kW(わが家の太陽光パネル容量)≒950kW
雪の影響で12~2月はほぼ発電していないにしては頑張ってくれているのではないでしょうか。
まとめとしては、計算の結果では元がギリギリ取れるかどうかとなりましたが、実際は値引きや補助金を使ってもっと安く導入できると考えると、たとえ雪国でも太陽光パネルと蓄電池で元を取れる可能性は無くはないという言い方になると思います。

トントンくらいになるとしても、太陽光パネルと蓄電池の災害対策としての役割も考慮すれば、採用してみても良いのではないでしょうか
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